エチオピア訪問: 本当に意味での現場主義・人づくり

短いエチオピア滞在の中で訪問させて頂いた、白鳥さんがJICAとして取り組まれているFRGプロジェクトには、とても共感しました。ご存じない方のために簡単に説明すると、農業を専門とした国の研究者が、単なる学術的な意義だけではなく、本当に現場の農民の役に立つ研究が実施されるようにと、研究者のトレーニングと現場とのコミュニケーションのを促すプロジェクトです。

私は普段、マクロのお金の流れを決める所で、企業の環境・社会・ガバナンス面での活動を評価・応援する投資の仕組みに関わっていますが、その評価対象となる企業が活動する「現場」への本当の影響を確かめ、再びマクロの動きに反映させたいという思いから、この数カ月間のお休みをもらってました。そのため、白鳥さん方の取り組みに通じるものがありました。

ついつい、政策提言・議定書等、マクロな話や流れに関わっている知的労働者の方が偉いと、世間的に判断しがちですが、現場の生産者・多くの雇用者があってこその社会・経済であることを、世界中どこの知識層でも忘れてはいけないと、改めて思いました。そして、そういう意味では「現場」を完全に忘れた(そもそも思うインセンティブも無い場合が多い)トレーダー達に、悲しさと恐ろしさを感じます。

一般的に短期の箱ものが多い日本援助の中で、長期視点での現場に適した人づくりと国づくりに視点を置いたFRGプロジェクト。こうしたプロジェクトは非常に大事ですが、その効果が見えるのはまだまだ先になるため、関わってきた人たちが喜べる成果がいつの日にか見えることを、切に願います。