~ 歌声愛するピアニストが繰り広げる感情の旅 ~

ある寒い大晦日の夜、温かな雰囲気漂う会場でジャズを聴きに足を運んだ。
ピアニスト、永田ジョージさんの音色に初めて出会った晩だった。彼の音の何かが私を惹きつけ、一つ、また一つと東京の街でのジャズが吹き込まれたその演奏の旅を続ける初めの一歩となった。
ピアノから弾き出される音との感情の繋がりは、唯一無二のものと言えるだろう。その繋がりに惹きつけられ、ライブに何度も足を運んでしまう人も少なくないだろう。
そんなジョージさんにはもう一つ、素敵な才能が備わっている。粗削りの音の宝石を見つけ、その奏でる本人が未だ知らない可能性を引き出し、時には自分をも追い越す勢いで音の道案内をする才能だ。そんな時、彼らの声、楽器の音とピアノが絡み合い、情熱的かつ柔らかな音の世界を創り上げていく。
この能力はライブパフォーマンスに留まらない。
目の前で瞬間的に創られる音の高揚感や雰囲気に勝るものはないだろう。しかし、優れたエンジニアのサポートに恵まれているためか、その時々にぴったりなスタジオを選んでいるためか、その魔法はこうしたアーティストと制作したいくつものアルバムにも及んでいる。身近に感じるアーティストによるアルバムの中で、ついつい聴きたくなるアルバムの多くの制作に関わっているのは隠せない事実だ。
もう一つ公然の秘密は、ジョージさんの歌声にかける愛情だ。その愛は、現在30回を数え、100回を目指している「Vocal Crossing」シリーズに込められている。シンガーの伊藤大輔さんと共同企画し、毎回新たに2人のゲストシンガーを呼んで届けられるこのシリーズは、彼のプロデュース力を腕試しする場となっている。
そんなジョージさんのピアノは日々進化し、演奏の度に自由度が増していく。それに加え、時折のコーラス、ボイスパーカッション、そして稀に見るラップも、時にはその手で奏でられるメロディーをも超える存在感で届けられてくる。
演奏される和音からは、繊細で甘い音が聞こえてくるが、仲間とのコメディアンのようなやり取りは、同時に笑いのツボを擽ってくれる。これには、国内外の観客を楽しませてきた、ピアノにジョージさん、ギターに鈴木直人さん、そして盟友であるボーカリスト伊藤大輔さんから構成された「Triple Standards」を体験するのが一番だろう。
アメリカ西海岸でその音の土台を蓄積し、各大陸との音楽的な繋がりを持つジョージさん。次はどの土地、どの人との音が紡がれるのだろう。
永田ジョージさんのサイト:https://www.groovepockets.com/
YouTubeリンク:https://www.youtube.com/user/gnagata