Atsuko Shinjo

アイルランドの大地の深みから語る声、新城温古さん。

最初に出会ったきっかけを忘れてしまうほど、いつの間にか繋がっていた温古さん。

一度占ってもらった時に、かつては騎士だったと言われたらしい。

まるで前世でも出会っていたかのように吸い寄せられた私たちだが、昔はアフリカ大陸の猫だったと信じている私と、どこですれ違っていたのだろう・・?一緒にサバンナを走ったのだろうか?

前世が騎士と聞いて妙に納得してしまう温古さんの歌声。現世(笑)は柔らかな人柄なのに、シュッと一本通った強さのある声。しかも、声だけを聴いていると、日本人としてというより、どことなくアイルランドの大地の風の音を運んでくるから不思議だ。

母親であり、臨床心理士でもある温古さん。

そのためか、自然と子供に話しかけるような優しいMCに、大人も子供もその世界に惹き込まれていく。曲の深いところに旅をさせてくれるので、この世を生きるも去るも包み隠さず見せてくれる。彼女には沢山のちびっ子ファンがいるが、それでも決して子供向けにアレンジしたライブではない。押しつけがましくないその語りと歌声は、難解なはずなテーマでも子供も受け入れてしまう不思議な魅力。以前、貴重にも私を素直だと言ってくれた温古さんだが、私はその真っ直ぐにメッセージを届ける温古さんが、むしろ大好きだ。

と、深くて暖かい音に包まれていることが多い温古さんのライブだが、たまにペロって子供みたいに舌を出しそうな明るさとグルーヴも届けられる。そんな時は、大人も子供みたいに身体を揺らせながら、上に行ったり、ぐるりと一周したり楽しんでいる。

母として、シンガーとして、人の心と向き合う人として、大好きな温古さん。

悪戯小僧と勇敢な騎士の顔が入り混じる温古さんが、次のステージではどの顔を多めに覗かせて音と物語を届けてくれるのか。また足を運べる日が楽しみだ。