W Keyboard Project

パキッと締まった、愉快な鍵盤要塞グルーヴ
~ W Keyboard Project ~

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友人宅のリビングルームでの集まりのようなアットホームな会場で、その出会いは生まれた。

デュオで演奏していたピアニストと、たまたま観客として遊びに来たもう一人のピアニスト。

せっかくなので一曲一緒に弾いてみようと、一台のアップライト・ピアノを分け合いながらの連弾ジャズ・セッション。

力強さと柔らかさ、互いの特徴を活かし、補完し合いながらどんどん引っ張りだされてくる引き出し。「これは行ける!」と、会場の皆も盛り上がった。

そう感じたのは観客だけではなかった。ピアノ同士の共演という、決して多くはないコンビネーションを探し求めていた2人は、これを機に実験的にピアノ二台のスタジオに入ってみた…

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あのほんわかとした空間での初共演はどこに行ったのだろう?

そう思わず笑ってしまいそうな、がらりと雰囲気変わって完成した W Keyboard Project。

回を重ねるごとに音・仕組み様々な鍵盤楽器が次から次へと投入され、多重の音の壁が出来上がって行く。その壁からはオルガン、フルート、スチールパン、小鳥の囀りに謎の生物(!)と、ピアノ意外の地球の音が巧みにタイミング良く出没する。

この壮大なキーボード実験を支えるのは、強力なグルーヴ力を備えたベースとドラム。聞きなれた情熱的なジャズ・スタンダードも、ピアニストの編曲力とドラムの再現力によって愉快なハワイアンとパキッときれるグルーヴ感を混ぜ合わせた新感覚の曲へと変化する。

そんな強力なバッキングと鍵盤要塞に負けず、いや、むしろ守られて、時には曲の原点を思い出させるようなスモーキーなジャズ音、時には更なるドラムとベースの雄叫びをおびき出すような熱く突き出る音を奏でるサックス。

一見するとクラブ・フュージョン音楽で座って見るのが勿体ない程の力強いビートが刻まれているが、でも同時に聴かせるメロディアスな贅沢なバランスを持ったバンドだ。

「W」=「ダブル」キーボード・プロジェクトという名前だが、この強力な5人組と、進化し続ける鍵盤の壁の創る世界が、次はどこに連れて行ってくれるのか、楽しみだ。

江本翔 x 井高寛朗 “W” Keyboard Project Featuring. 横田寛之

(Piano, Key) 江本 翔 (Organ, Key) 井高 寛朗
(Bass) 堀内 “johnhori” 正隆
(Drums) GOLTA
(Sax) 横田 寛之