Category Archives: RI Column

ピンチをチャンスに:なぜ今日から気候変動に取り組むべきか

第4回目となるRIコラム投稿です:

「昨今の日本でのESGを考慮した投資家の投資行動が原因で、今までにない株価の動きがみられる。」「(一方、)気候変動は数百年後に起きるかどうかも分からない事象なので、扱いが難しい。」

昨年、ある取材を受ける中、取材者にこのように言われ、内心苦笑した。多くの水害を引き起こした西日本台風が訪れた直後だったので尚更だ。

「ESG投資」という中には気候変動も含まれているはずだが、ESGを構成する実態のある個別要素ではなく、今この瞬間の数字として表れる情報のみを信じることに慣れてしまっている、或いはそれが役割だと信じているために出てくる発言だろう。これは一例に過ぎないが、運用、証券、企業IR、銀行、年金基金、経済記者など、金融に関わる全ての人々が直面している現実のジレンマの表れだろう。

しかし、今この瞬間に株価に反映されていないから、複雑で分かりづらいから、という理由で気候変動を軽視して良いのだろうか。

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https://www.responsible-investor.com/home/article/arisa_kishigami_column4/

アマゾンの原生林伐採問題から思考するESG投資の役割

世界が必要とする酸素の10~20%の供給に貢献しているとされているブラジルのアマゾン林が、大規模な火災によって急速に破壊されていることは、各種メディア媒体から既に耳にしている人も多いだろう。

世界のESG投資の動きを代表するPRI(責任投資原則)ではこの問題を受けて、機関投資家の声を代表する共同声明文をドラフトし、賛同機関を募った。

アマゾン林と共存しながら、現地の営みを支えるようなビジネス・チャンスはあるのか。「サステナブル移行」を謳った新たな資金調達を行った企業が、その目標通りの行動を取っているのか。今回焦点があたっているブラジルのアマゾン林以外にも、似たような現状、改善に寄与できる投資行動はあるのか。

一カ国でも、一企業でも、一投資家にも収まらない一つのESG課題への思考を、良ければ下記を読みながらご一緒ください。

https://www.responsible-investor.com/home/article/arisa_kishigami_column3/

動物愛護ではない、人と環境のためのアニマル・ウェルフェア

第2回目となるRI コラム投稿です:

「アニマル・ウェルフェア」と聞いて、第一に連想するものは何か。

RI記事 ‘How can investors accelerate company action on farm animal welfare?’ において、今年2月に公表された第7回アニマル・ウェルフェアに関する企業のグローバル・ベンチマーク、 Business Benchmark on Farm Animal Welfare (BBFAW)の結果が公表された。

それによると、ビジネス戦略の中枢にアニマル・ウェルフェアを掲げている企業数は2012年比で3倍に増加しており、対象企業のうち43%において役員や管理職レベルでアニマル・ウェルフェアへの明確な監督責任があるなど、進歩が確認されている。

しかし、レポートの中身を更に読んで行くと、調査対象となった日本企業5社が、いずれも最も低い評価段階にあることが確認される。

果たしてこの状況は気に留めるべきものであろうか。

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個人から投資まで: 加速するプラスチック課題への認識と取組み

【Responsible Investor という、責任投資、サステナブル投資を専門としたメディア媒体において、日本語でのコラム発信を開始いたしました。第一号記事の全文転載を許して頂いたので、以下に記載します。】

RIサイトでの掲載はこちら:
https://www.responsible-investor.com/home/article/arisa_kishigami_column1/

David Attenborough氏が率いた英BBCのドキュメンタリーシリーズ「Blue Planet II」等によって、これまでも燻っていたプラスチックがもたらす負の影響への認識が、急速に世界へ広がった。

2018年7月に発表された、カルフォリニア大学のRoland Geyer博士のレポートによると、83億トン分と概算されるプラスチック商品の総生産量のうち、79%が埋立地、または自然界に流入しているとされている。

BBCでは、プラスチック問題に関する様々な統計記事だけでなく、一人の一歩から始められる、様々な使い捨てプラスチック(Single Use Plastic)削減のアイディアを募集し特設ページで公開している。この個々人の声は流れをつくり、政府、企業、金融機関や援助機関等、様々な所で取組が始まっている。

欧州委員会では、プラスチックによる海洋汚染を軽減すべく、Single-Use Plastics Directiveを2019年5月21日に発表した。その内容の一つとして、欧州の海岸線に最も多く発見され、代用品が存在する綿棒の軸やストロー、ポリスチレン製のコップや容器など、使い捨てプラスチック製品の禁止項目が具体的に掲げられている。「一つ一つの製品は小さいが、この使い捨てプラスチックに関する法案によって、2030年までに220億ユーロの費用がかかるとされる環境破壊を防ぐことが出来る」と、環境、海事、漁業担当の欧州委員、Karmenu Vella氏は発表に際して述べている。

金融の立場を利用した取組みも出始めてきている。
モルガン・スタンレーのInstitute for Sustainable Investing では、2030年までに最低でも5,000万トンのプラスチックごみを減らす目標を掲げた。Head of Sustainability Researchを務めるJessica Alsford氏は、最も影響を受ける業種としてプラスチックを生成する石油化学関連会社、および消費者商品の包装・梱包を行う業種を挙げ、「Morgan Stanley Plastic Waste Resolution」の一貫として、こうした企業にダイベストメントではなく、リサイクル技術の向上等に関するエンゲージメントを行っていくという。

一方、Circulate Capitalという、南アジア・東南アジアでの海洋プラスチック問題の解決に特化した運用会社では、米国の援助機関であるUSAIDと連携し、最大3,500万米国ドルの融資保証を行うことを2019年6月5日に発表した。

世界の約7割のプラスチック廃棄物の輸出先となっていた中国は、2017年末に全面的に受け入れを禁止した。先月日本で開かれたG20では、2050年までにプラスチックごみの海洋流出をゼロにする目標の合意が得られた。

日本は直接的な海洋への流出量は少ないかもしれないが、プラスチックごみの輸出国としては世界1,2位を争うレベルであり、その輸出先の多くは東南アジア諸国である。日本においても、夫々の立場で、個人、企業、投資家、政府機関としての様々な取り組みが今後紹介されることに期待したい。

<参考にしたRI英文記事>
As plastic waste shoots up the political agenda, Morgan Stanley commits to 50m tonne target: How one leading investment institution is taking on the challenge
by Vibeka Mair | May 28th, 2019

The latest responsible funds and bonds news
by Khalid Azizuddin | June 14th, 2019